Sunday, July 24, 2011

マリーゴールド (四十八)

「マリー、パピの生まれた国はお茶の葉で有名なのは、この前お話ししました。では、日本だと、お茶の葉で有名な県はどこでしょう」
 とまたバジがいつものクイズをマリーに出していた。これがまた、色々な種類のクイズ問題があるのだ。
 デザートのプルーンをもう一度拭いてから配って、お茶も入って、ポットからは湯気がほわほわと上った。パッションフルーツやグアヴァの青や黄色や苔紫の香りが一気に広がる。この香りで智子の機嫌も少しは直って、
「主には暖色系の香りね、でもかなりの混合色だわ」
 などとカラー・コーディネータぶって喜んでいた。おばあちゃまも、
「南国って感じはするわよね、良い感じ」
 と浅めの深呼吸を何回かした。
マリーは、熱そうに一寸味見してみて、
「舌がちょっとピリピリする」
 などと言いながらも、ニコニコきれいな乳歯で笑った。バジだけが一人もの静かな表情で、遠くを見詰めていた。ケラ・ケララ・ケララ。蛙のオルゴールが救急車の上に乗っかって通り過ぎて行く。
真ッ暗な夜に、緑の光、低い漆黒の海岸線。ザブリ。

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